コラム:健康経営の今後の流れ(第3回:中小規模企業へ広まる「健康経営」)

第3回:中小規模企業へ広まる「健康経営」

健康経営が注目されるようになった背景には、「日本健康
会議」の発足があります。
2015年7月、経済団体・保険者・自治体・医療関係団体等
民間組織で構成される「日本健康会議」が発足しました。
これは、少子高齢化が急速に進展する日本において、
国民の健康寿命の延伸と医療費適正化について、行政の
みならず、民間組織が連携し実効的な活動を行うために
組織された活動体で、厚生労働省・経済産業省の協力の
もと、具体的な対応策を実現していくことを目的として
います。

具体的な活動指針となる8つの宣言からなる「健康なまち・
職場づくり宣言2020」が策定され、そのうち健康経営に
関するものとしては、「宣言4:健保組合等保険者と連携
して健康経営に取り組む企業を500社以上とする」、「宣言
5:協会けんぽ等保険者のサポートを得て健康宣言等に取り
組む企業を1万社以上とする」の二つが策定されました。
この宣言に沿った活動として、一部上場企業に対しては
健康経営銘柄の選定が始まり、それ以外の企業に対しては、
協会けんぽが、企業全体で健康づくりに取り組む企業を
募集し、その活動をサポートする「健康企業宣言」の活動
が行われています。宣言を行えば、協会けんぽのサポート
だけでなく、商工会議所からの情報提供、金融機関から
融資等の金利の優遇が受けられるというインセンティブが
設けられたのがポイントと言えます。

平成28年、健康経営銘柄選定から3年目を迎え、新たに特に
優良な健康経営を実践している大規模事業場や中小企業等
の法人を顕彰する制度、「健康経営優良法人認定制度」が
始まりました。
この制度には、大規模法人部門と中小規模法人部門があり、
認定基準は「健康経営銘柄」で使用しているフレームワーク
をもとにしています。
2020年までに、大規模法人部門は上場企業に限らず500社が
「健康経営優良法人~ホワイト500」として認定され、
中小規模法人部門では、協会けんぽによる健康企業宣言を
実施している企業の中から、基準に沿って認定されます。

「健康経営銘柄」の場合の選定によるメリットは、対象が
一部上場企業ということもあり、投資家へのアピール、
話題性やイメージアップなど、直接的なものではありませ
んでしたが、「健康経営優良法人」は、健康経営アドバイ
ザーからの支援や、金融機関からの低金利融資、人材確保
支援など、インセンティブの充実が予定されており、特に
中小規模法人部門では、多くの企業が関心を寄せていると
思われます。
また、健康経営優良法人の認定には、協会けんぽなどに
所属する保健師等専門職の関わりが重要で、同じ職域で
働く保健師として協会けんぽの保健師の活躍に期待したい
ところです。

アサヒビール㈱博多工場  保健師 住德 松子

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