コラム:健康づくりとエビデンス(第1回:エビデンスに基づく健康づくり)

最近になって,健康無関心層へ「健康!」「健康!」
と言うのはあまり得策ではない,というエビデンス(科学的根拠)が出ています。

そもそも人には,現状を変えたくない,また“遠くの利益”よりも“今すぐの喜び”
を大事にしてしまうという習性があります。
例えば,喫煙,甘いものの摂取,飲酒,運動などをする・しないという決断に対して,
これをやったら健康になるとわかっていても,“今,楽をしたい”“今,楽しみたい”という
人間の悩ましい習性です。

この習性が厄介な点は,空腹時や喉が乾いている時,ストレスが溜まっている時など,
人間の本能的な認識に結びつくと,より今を大事にしてしまう傾向が出てくるところです。

皆さんも,お腹が空いている時にスーパーマーケットへ行くと,
ついつい余計な物を買ってしまったとか,「たばこ1本をいま我慢したところで,
将来,がんになる確率が減るというわけでもない」と考えたりしたことがありませんか。
また,他人から言われると嫌になるという心理的な抵抗もあります。
「宿題をやれ」と言われると,「(やろうと思っていたのに…)嫌だ」と言いたくなった       

経験があると思います。

つまり,健康づくりの習慣化に良かれと思って私たちが何かを提供しても,実は逆の効果を
もたらす可能性もあるということです。

ここで1つ例を紹介します。
健康を食品ラベルに謳うと余計お腹が空いてしまうというアメリカの研究報告です。
この研究は,シカゴの学生を対象に,「健康に良い」「おいしい」と書かれたサンプル
のチョコレートバーを食べたそれぞれのグループと,何も書かれていないバーを食べた                                  

グループの3グループについて,その後の学生たちの空腹度合いを調べるというものです。

すべて同じ味なのですが,「健康に良い」と書かれたチョコレートバーを食べた
グループは,他の2グループと比較して,空腹と感じる度合いが高く,
その後また何かを食べていたという結果でした。

同じ味なのですが,なぜこういうことが起こるのでしょうか。
それは,「健康に良い」と言われると,健康に良いものを食べたから,
今度は少しくらい健康に悪い事をしても大丈夫だろうと思ってしまうからだそうです。

このような現象は,運動と食事の分野でも見られます。
たくさん運動した後,ついつい甘いものを食べてしまったなど,皆さん,                                                    

  思い当たる節がありませんか。

福岡市は今後,このような人間の習性にも着目した効果的な健康づくり施策を                                              

検討していきたいと考えています。

福岡市保健福祉局 政策推進部長 中村 卓也

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