2020.02.10
前回は、健康経営に取り組んだことで効果を実感した事例を紹介しました。今回は、実際に健康経営に取り組むためのコツについて考えてみたいと思います。
多くの事業所の健康経営を支援していると、効果を上げている事業所には共通点があることに気付きます。今回はその共通している5つのポイントについてご紹介していきたいと思います。
○経営者及び担当者が「従業員とその家族の健康・幸せ」が何よりも重要であるということを理解している
目の前の利益を上げることよりも事業を存続していくことに重点を置き、それを実現させるためには何よりも従業員の「健康・幸せ」が重要です。従業員が安心して最高のパフォーマンスを発揮するためには、家族も笑顔でいることが大切です。従業員と家族の満足度が高ければ、自ずと顧客の満足度も上がっていきます。
○良いと思うことは出来ることからすぐに取り組む(スモールステップ)
他の事業所がやっていない凄いことを実施しようと気負わずに、まずはすぐに少し頑張れば達成できそうなことから取り組むことがポイントです。先進的に健康経営に取り組まれている事業所ほど「当たり前のことをやっているだけです」と言われることが多いと感じています。
○健康経営の取り組みを始めたらPDCAを回すことを意識している
取り組みが達成できたことの評価を実施すると共に、問題点を把握し、次の段階に向け少し頑張れば達成できる目標を立て、PDCAを回しておられます。
○健康経営に取り組んでいることを従業員・家族・顧客・地域に発信している
取り組んでいる内容を社内に掲示したり、朝礼で従業員に伝えたり、ホームページに掲載するなどして積極的に宣言しておられます。
○様々な分野の専門家などのアドバイスを得ながら進めている
産業医や保健師などの産業保健の専門家、運動や栄養の専門家など、多方面の支援を得ることでより高い効果が得られています。また、事業所が加入している医療保険者(全国健康保険協会、各種健保組合など)も、事業所の健康経営を応援しています。
健康経営を進めるにあたり、加入保険者など費用をかけずに協力を得られる機関を存分に活用すると共に、利用回数・機会に限りがある部分を補う手段として、これからは健康経営に投資するという考え方も大切なコツの1つであると言えるかも知れません。
・全国健康保険協会 福岡支部 保健師
・アクトグレースサポート株式会社 代表取締役
・長崎国際大学 社会福祉学科 非常勤講師
田中千恵美