【コラム】第3回 健康経営をはじめてみませんか? 『協会けんぽにおける中小事業所の健康経営』 ~健康経営に取り組むと社員が、経営者が、企業が活き生きする~

協会けんぽからのコラムは いよいよ最終回ということで「健康経営実践事業所に起き始めた変化」について、実際に健康経営に取り組んでおられる中小事業所にご回答いただいたレポートの集計結果を中心にお伝えしたいと思います。

協会けんぽでは、事業所が健康づくりの目標を宣言し実践する「健康宣言事業」を推進しており、保健師・管理栄養士がアドバイザーとして年2回ほど事業所を訪問しサポートを実施しています。毎年度末に“健康宣言事業所”よりご報告いただくレポートからは、健康経営を実践することにより事業所で起き始めている変化について知ることができます。

まずは、2年連続して健康宣言を実施した事業所(182件)において「健康宣言後の変化」について比較しました。次の6つの項目について質問しました。【①業績・生産性の向上につながった ②職場内のモチベーション(やる気)の向上につながった ③通院者・病人の低下につながった ④職場の雰囲気が明るくなった⑤欠勤が少なくなった ⑥社内のコミュニケーションの向上につながった】 結果は全ての項目において、2年目の方が「効果が かなりあった」「効果があった」と回答しており、年々実践による効果を実感していることが分かりました。(2019年第92回日本産業衛生学会にて報告)

【図①】「健康宣言後の変化」(出典:全国健康保険協会 福岡支部)

また、平成29年度の健康宣言事業所の中で「喫煙率を下げる取り組みがある」と回答した212事業所のうち34%が「喫煙率が減少」と回答しており、事業所主導の禁煙の取り組みが社員の禁煙成功の背中を押すことにつながることが示唆されました。

さらに、「喫煙率の変化ごとに見た禁煙取組内容の比較」では、「禁煙外来の補助金等」に取り組んでいる事業所において明らかに喫煙率が減少していることがわかり、健康への具体的な投資が社員に事業所の本気度を示すきっかけになることが示されました。(2019年度日本産業衛生学会九州地方会学会にて報告)

【図②】「喫煙率の変化ごとの 取り組み内容の比較」

健康宣言事業に取り組むことが、経営者の「社員を大切にしている」という方針を伝えるきっかけとなり、信頼関係が育まれ、モチベーションが高まり、病欠者や不調者が減り、引いては生産性を向上させることにつながり「社員が、経営者が、企業が活き生きする」のだと実感しています。

中小事業所のメリットである「事業主と社員の距離が近く方針が伝わりやすい」「社員同士のつながりが密であり健康づくりの風土を作りやすい」という点を活かし、協会けんぽもお手伝いしていますので、さあ、できそうなことから一歩ずつ、健康経営をはじめてみませんか?

全国健康保険協会 福岡支部 保健専門職(保健師)

上村 景子

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