2020.10.10
「成果を上げるチーム」とは、いったいどんなチームなのか?というテーマのもと、3回に渡って
お届けしているコラムも、今回で最終回となりました。
法則1は「成果を上げるチームはお互いをよく知っている」
法則2は「成果を上げるチームは貢献のゴールイメージを共有している」
でした。そして今回お届けする法則3は
「頑張りが評価されるシステムがある」です。
いったいどういうことなのか、詳しく中身を見ていきましょう。
以前、複数ブランドのフランチャイズ店舗を展開している会社さまの、店長コーチングを担当した
ことがあります。
ファーストフードのフランチャイズ店舗だったせいか、店長の年齢は、20代後半から30代前半の
やる気満々の若手男子が大半でした。若いながらも、一国一城の主として、自分の店舗の売り上
げアップに頑張っていました。
ところが、その店長達が口をそろえて言うのです。
「35歳前にこの会社を辞める」と・・・
理由を聞くと、こんな意見が出てきました。
1,この会社は頑張りを認めてくれない。頑張って売上上げたのに気づいてもくれない
2,スーパーバイザー(彼らの上司にあたる人達)がみな疲れている。ああはなりたくない。
3,35歳前だとつぶしが効く。これまでのマネジメント経験で店舗運営のコツがわかった
ので、もっと自分を評価してくれる別の会社を探す。
みなさんは彼らの言い分を聞いてどう思われますか?
ドキッとした方もいらっしゃるのではないでしょうか?
■あなたの会社は「頑張った人が報われる」仕組みがありますか?
人は誰もが、自分のことを認めてほしい、大事にしてほしい、と思っています。
残念ながらこの会社は、そんな普遍の心理をわかっていませんでした。
だから、成果を上げる優秀な人材から辞めていき、他所でうまくやれる自信がない人だけが残る
という、残念な結果となったのです。
成果を上げている組織は、「頑張った人が報われる」仕組みを持っています。
10分カットで急拡大したQBハウスは、徹底した
新人教育、評価基準を「売上」から「カット技術・清潔度・接客」に変更、優秀店舗を全国店長会
で表彰、カットコンクールの実施、などの施策で、離職率を大幅に下げました。50%の離職率が
12%まで下がったと言うから驚きです。
スターバックスには、ブラックエプロンの仕組みがあります。ごくわずかの優れた人しかなれない
このステイタスを目指して、多くの若者が頑張っています。
試験は年に一度、合格率は1割以下、胸元の星の数は社内試験を通過した印で、合格するごとに
星がひとつずつ追加されるのだそうです。
実際にブラックエプロンをもらって変わったこと(仕事と気持ち)をブログ記事に書いていた人
によると・・・
1,社内のコーヒー大会に出場できた
年に一回会社主催で開催される「コーヒーアンバサダー」に出場できるようになります。
この大会で優勝すると次の大会に出場できるというふうに、キャリアパスが明確です。
2.一般向け・企業向けの有料セミナーを担当できた
これらのセミナーのメインの進行を担当する講師は、ブラックエプロン保持者だけなので、
やりがいを感じるそうです。
3,接客に自信が持てた
スタバのコーヒー豆に詳しくなった分、接客に自信が持て、スタバのコーヒー豆の魅力を多く
の人に伝えたい気持ちが高まったそうです。
出典: https://bianse.jp/blackepron/
驚きなのは、ブラックエプロンになったからと言って、給料は上がらないと言うこと。
それなのに、みんな、このエプロンが欲しくて頑張るのだそうです。
QBハウスの場合、評価基準を「売上」から「カット技術・清潔度・接客」に変更したことで
離職率が激減したことからも、昨今の若者が、自分の成長ややりがいを大事にしていることが
うかがわれます。
実際に、ある調査によると、転職希望者の8割が「人事評価制度」が不満で転職を希望して
います。
不満の具体的内容は、
「好き嫌い評価である」が最も多く47.3%、「評価の基準が不透明」(41.6%)、
「行動を評価してくれない」(38.4%)、「頑張りと連動していない」(37.4%)―
といった点を挙げる人も4割近くいたとのこと。
出典: https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1907/09/news087.html
若者の数が減っている”未曾有の労働力不足時代”です。
優秀なやる気のある人材を確保して活き活きチームをつくるために、誰もが納得いくやりがい
のある人事評価制度を創ることは「最重要事項」のひとつなのではないでしょうか?
NPO法人ヘルスコーチ・ジャパン
最上輝未子