2019.12.10
今、様々な場面で「健康経営」というキーワードを良く耳にするようになりました。そうは感じないと思われる方も、ほんの少し「健康経営」というワードを意識してみませんか。
3回シリーズで「健康経営」をはじめる第一歩となる情報を提供できればと思います。
第1回 健康経営に取り組んで効果があった事例紹介
第2回 すぐに健康経営に取り組めるコツ
第3回 健康経営実践事業所に起き始めた変化
協会けんぽ福岡支部では、加入事業所である中小企業の健康経営を支援することを目的とした事業を2016年度から開始しています。事業所が健康づくりに関連する目標を宣言し(「健康宣言」)、目標達成に向けて協会けんぽの保健師・管理栄養士がその活動を支援しています。
今回は、この事業に取り組んで効果があった事業所の事例をぜひご紹介したいと思います。
<事例>ペガサスプラント 株式会社
~社長の決断で一気に施設内禁煙が達成!~
【業種】受電・配電設備 設計施工 【従業員数】16名
私は、健診後の保健指導実施という形でこの事業所に関わって10年になります。
健康経営に取り組む前の事業所の状況は…
毎朝、事務所の1階で始業時にラジオ体操を実施しています。しかし体操の直前まで、同じ場所が従業員の喫煙場所でもあったのです。タバコの残り香の中でのラジオ体操!社長も担当者も、この状況をなんとかしたいと思ってはいましたが、漫然と続いている環境を変えるというのはかなりエネルギーが必要なことでもありました。
そんな折、保健指導で訪問した際に、開始したばかりの健康宣言事業の参加をお勧めしたのです。喫煙場所の現状を話され、ぜひ施設内禁煙を目指す内容で宣言しよう!と社長も担当者も考えておられましたが、喫煙者である従業員の賛同を短期間で得るのは困難であろうとも判断されていました。そこで初年度は、事業所のご意向を尊重し、「喫煙場所に禁煙ポスターを設置します」と、すぐに取り組める宣言内容でご提案しました。まずは健康経営に取り組んでみる、第一歩を踏み出してみることが大切なのです。目標は、少し頑張れば達成できるスモールステップの内容にすると、モチベーションも維持でき、息の長い取り組みに繋がります。
そして、禁煙ポスターの設置からおよそ3か月後、大きな変化が起きました。なんと屋外に従業員による手づくりの喫煙所を設置されたとのご報告でした。事務所1階の喫煙場所のポスターを社長や従業員が毎日見たことで、社長自らが早期に決断し従業員に提案され、最も危惧されていた喫煙者からのクレームも一切なく、スムーズに施設内禁煙が達成できたとのことでした。
中小事業所においては、社長が思い切って決断され宣言されることにより、一気に取り組みが前進する事例を多く経験しています。
・全国健康保険協会 福岡支部 保健師
・アクトグレースサポート株式会社 代表取締役
・長崎国際大学 社会福祉学科 非常勤講師
田中千恵美